静岡県福祉サービス運営適正化委員会

福祉サービスの「措置から契約へ」の制度改革に伴い、権利擁護や苦情解決、第三者評価システムなど利用者を保護するしくみが整備されました。 苦情解決のしくみの概要を紹介します。

1.福祉サービスの苦情解決のしくみ

福祉サービス(社会福祉法第2条に規定する社会福祉事業において提供されるすべての福祉サービス)の苦情を解決するための制度は、平成12年6月7日施行された社会福祉法(第82条~第86条)において法制化されました。この結果、今日の福祉サービスは、利用者とサービス提供事業者との対等な関係に基づくサービス提供契約となりました。

【苦情解決の基本的な考え方】

こうした状況から、福祉サービスに関する苦情は、本来、当事者である利用者と事業者との間で話し合って解決を図ることを基本としています。そこで、事業者には利用者からの苦情には、自ら適切な解決に努めることが重要な責務とされています。さらに、苦情解決に社会性や客観性を確保し、利用者の立場や特性に配慮した適切な対応を行うために、各都道府県に「福祉サービス運営適正化委員会」が設置されることとなり、都道府県社会福祉協議会に置かれています。

なお、運営適正化委員会は、虐待や法令違反など明らかに改善を要する重大な不当行為等に関する苦情を受けた場合は、都道府県知事に対し速やかに通知することとなっています。

また、介護保険サービスに関する苦情については、原則として、保険者である市町村(介護保険担当課)や、国民健康保健団体連合会(介護保険課)、県(福祉指導課)で対応することとなっています。本会でも御相談をお受けしますが、内容によっては市町村介護保険担当課等への御相談をおすすめする場合もありますので御了承ください。

2.サービス事業者による苦情解決(社会福祉法第82条)

利用者がサービスを利用する上で抱く思い、意見、不満や苦情は、サービスの提供方法、職員の態度や言葉づかい、施設の設備等の他、虐待などの不当行為にいたるまで多様なものが想定されますが、これらの苦情を利用者が安心して申し出、相談できるしくみが必要です。そこで、社会福祉法(第2条)に規定する事業を行う者は、次のような苦情解決の受付担当や責任者、さらに第三者委員を設置し、これら関係者と利用者の話し合いによって解決を図ることとされています。

(1)苦情解決責任者 施設長、理事長などの施設の責任者

(2)苦情受付担当者 職員の中から苦情を受付け、内容・意向等を聞き、苦情解決責任者等へ報告する

(3)第三者委員会 中立公正な立場で苦情に対応(民生委員等地域の公職などを務めている者など)

これらの担当者は、事業所の見やすいところに掲示しておきましょう。掲示用のポスターは委員会で無料配布しています。(下記の「5.ポスター・リーフレットなど」をご覧ください。)

また、委員会では、福祉サービスに関する苦情対応に向けた改善のため、事業者の皆様の御希望により個別支援を行っています。

 内容・申込はこちら⇒〇実施要領

3.運営適正化委員会への苦情相談(社会福祉法第83条、85条、86条)

施設内での話し合いによる解決が困難な場合、利用者が安心して苦情を言えない場合などは、都道府県社会福祉協議会に設置されている福祉サービス運営適正化委員会(以下「委員会」)に苦情解決のための相談ができます。委員会の委員は、社会福祉、法律、医療の分野の学識経験者から選任され、受け付けた苦情の解決に向けて、事情の調査や助言、斡旋などを行います。

なお、委員会では苦情相談とともに、福祉サービス利用援助事業の運営監視も担当しています。

4.苦情相談の方法と委員会の対応

【1.苦情相談の受付】 運営適正化委員会へ、電話、FAX、メール、直接来所などの方法で御相談ください。 ( 電話・FAX 054-653-0840 、e₋mail kujou@shizuoka-wel.jp 来所の場合は事前に御予約下さい。)

【2.事情調査】(事実確認を行う必要がある場合) 申出人及び事業者双方の同意を得て、苦情内容に関する事実確認のため、聴き取りや必要に応じて実地調査を行います。

【3.解決方法の検討】 申出人の意向を尊重しながら、委員会では、➀申出人への助言・提案、②申出人と事業者との話合の推奨等、③解決案のあっせん、④県知事への通知(86条、不正、虐待等の場合)により解決に向けた検討を行います。

【4.あっせん】 申出人及び事業者双方に対し、適当と認められる場合は、あっせんの実施について照会します。あっせんは、申出人及び事業者双方からあっせん案の提示の要請がある場合、委員会として、あっせん案を作成し提示します。

【5.事後確認】一定期間経過後、申出人及び事業者から解決又は改善した加藤の報告を受け、確認を行います。

苦情相談に関する具体的な運用は下記を参考にしてください。

⇒ 苦情相談Q&A(よくある質問)

5.ポスター・リーフレットなど

本会では事業者による苦情解決を支援するため、苦情受付担当者や苦情解決責任者などを表示するためのポスターや制度周知のためのリーフレットなどを作成・配付しています。

送付を御希望される場合は、申込書を本会までFAXで送信してください。送信先は申込書に記載してあります。

6.事業報告書

社会福祉法施行令第23条の規定に基づき、毎年度の委員会の業務の状況及びその成果について報告書を作成し公表します。

平成30年度事業報告書

令和元年度事業報告書

令和2年度事業報告書

令和3年度事業報告書

令和4年度事業報告書

7.「福祉サービス事業者の苦情解決に関するアンケート」報告書